Watching The Wheels「わっちんぐ・ざ・ほいーるず(廻る輪っかを見てるだけ)」は、1980年に発表されたジョン・レノン&オノ・ヨーコのアルバム「ダブル・ファンタジー」に収録されました。同アルバムからは「スターティング・オーヴァー」「ビューティフル・ボーイ」「ウーマン」など歴史的とも言える名曲が排出されていて、この「わっちんぐ・ざ・ほいーるず」は知られざる名曲?にポジショニングされているのでしょうか?
しかしながら、この「Watching The Wheels」は素晴らしい。楽曲のキーはCで、最も仲の良いFを従えてぐるぐる廻っているようです。それを表現する比較的低音域のピアノがぐるぐる感を強調し心地よく響きます。絡み合う歯切れ良いベースは音のアップダウンを繰り返し、まるで輪っかを廻すポンプのよう。
全体を優しく包むホルン(のような楽器)の響き、それとサビで訪れる小刻みなブラス(何れも管楽器)と、「ハンマーダルシマ」なる古楽器(?)が奏でる南国的なフレーズ(Amの活用)。そして特筆すべきは、これまでのジョンの作品とははっきりと異なるドラムワーク。アンディ・ニューマークによるものです。これが素晴らしいのです。ダブル・ファンタジーのアルバムの音楽的印象を決定づけているミュージシャンです。
この曲の主題は「個人vs世間」なのか?「They」という二人称複数(あるいは三人称複数)がやたら多用されています。ジョン・レノンと言えば一人称の詩人。当然のことながら、主観を軸としたメッセージになります。それが独特のジョン節(ぶし)とも言えるリズムに乗って流れてきますね。
それはまるで「個 対 他」は望むところだ、と意気込んだ若き日の自分のよう。毎日、その日に出会う人に喧嘩を売っては買い、そして消耗していました。ぐるぐると廻る毎日。僕に構うな、放っておけとばかりに。今思い返せば、それはつい昨日まで続いていたような気もし、実は今この文章を書いている時間でさえ変わっていないのかも。
捨て台詞「I just had to let it go!」は「ちぇ、やっと吹っ切れたぜ」とでも訳しましょう。曲の最後で、長めの台詞を放った後に例のメリーゴーランドを思わせるSEが余韻を残します。これは、不要だったかな?(笑)いやそうでもないか。僕のiTunesの再生回数は本日(2012年1月7日0時21分)で114回。繰り返し聞くこともあり、3分59秒の曲中で最後の29秒を占めるこの部分、本編をもう一回聴いてみたくなる導火線の意味で好き。